ヴァイオリンの小説5冊:ヴァイオリン弾きが感想とおススメ度をご紹介

こんにちは。バイリンガルママのソフィアです。

コロナウイルスの影響で、自宅にいる時間が増えましたね💦 早く収束して欲しいものです。

さて、今回はヴァイオリンが登場する小説をご紹介します。

オーケストラの中でもヴァイオリンはメロディーを奏でる花形ですよね。

ヴァイオリンをご自身で弾く弾かないに関わらず楽しめる小説やヴァイオリンという楽器についても知識が深まる小説をご紹介します。

ヴァイオリンの小説5冊

1 おやすみラフマニノフ ★★★★☆

著名おやすみラフマニノフ
著者中山七里
出版社宝島社
初版2010年

 

あらすじ

第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに秋の演奏会を控え、プロへの切符をつかむために練習に励んでいました。しか完全密室で保管される、時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれた!

彼らの身にも不可解な事件が次々と起こり…。ラフマニノフの名曲とともに明かされる驚愕の真実。

美しい音楽描写と緻密なトリックが奇跡的に融合した人気の音楽ミステリー。

第8回『このミステリーがすごい!』大賞にて大賞受賞、2010年1月『さよならドビュッシー』にてデビューされた中山七里さん。「おやすみラフマニノフ」は人気の岬洋介シリーズ第二弾。彼のずば抜けた音楽センスと冷静沈着で洞察力溢れる相異なる2面がファンにはたまらない一冊☆ 中山七里さんは他にも多くの音楽シリーズを執筆されているので、全部制覇するの楽しみもあります。

 

ヴァイオリン弾きの感想

将来に不安と夢を抱きながら練習に励む音大生が主役。そこに世界的なピアニストの学長をはじめとする教授群も登場する学園物語。

ヴァイオリン曲を初めとする多くの有名クラシック曲が描かれているので、実際に聴いて音楽の世界に浸りながら読書すると2倍楽しめます^^

オーケストラの様子やコンマス(コンサートマスター:第一ヴァイオリン奏者)の仕事内容も具体的に描写されているので、そこもポイント♫

個人的には「楽器を弾く、ヴァイオリンを弾く」という文脈で「弓をひく」という表現が使われている箇所に少し違和感を覚えましたが、全体としてテンポが速くミステリーとしても音楽小説としても楽しめる一冊です。

登場する曲

1.ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 皇帝
2.パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1&第2 ラ・カンパネラ
3.パガニーニ:24のカプリース
4.メンデルスゾーン&チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
5.ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2&4番

 

2 謎のヴァイオリン ★★★★☆

著名謎のヴァイオリン
著者クリスティアン・ミュラー
瀧井敬子(訳)
出版社新潮社
初版1999年

あらすじ

希少価値ではストラディヴァリをはるかに凌ぎ、豊かな音量と華麗な響きゆえ名演奏家に愛好者の多いヴァイオリンの銘器、グァルネリ。

行方不明だったグァルネリの一挺が、いくつにも分解された姿で発見された。誰が、何のために仕組んだことなのか?元麻薬捜査官のヴァイオリン鑑定家ベルナルディがその謎を追う。

ヴァイオリン弾きの感想

一般的にはヴァイオリンの銘器といえばストラディヴァリが有名ですが、イタリアは他にも多くのヴァイオリンを産み出しました。

その中でも鬼才パガニーニが偏愛したことから有名になったグァルネリ。今回はそんなグァルネリにまつわる一冊です。

当記事の一冊目にご紹介した「おやすみラフマニノフ」はどちらかというと演奏者のに焦点が当たっていましたが、こちらはヴァイオリンという楽器そのものにスポットライトを当てている小説。その為、読むとヴァイオリンという楽器そのもに関する知識が深まります

また、ヨーロッパとアメリカが舞台のため、異国情緒溢れる描写も多く、個人的には自分が昔住んでいたミュンヘンとシュヴァービング地区、そしてドイツ料理等が登場したので2倍楽しむことができました。ミュンヘンやシカゴに縁がある方は、別の楽しみ方もあります💛 

訳者あとがきには、ストラディヴァリとグァネリの対称的な一生などが記載されており、ヴァイオリン好きには是非読んで欲しい一冊です。

登場する曲名

チャイコフスキー:1812年
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
シューベルト:ハ長調交響曲「ザ・グレイト」

 

 

3 ヴァイオリン職人の探求と推理 ★★★★★

著名ヴァイオリン職人の探求と推理
著者ポール・アダム
青木悦子(訳)
出版社創元推理文庫
初版2014年

 

あらすじ

ジャンニはイタリアのヴァイオリン職人。ある夜、同業者で親友のトマソが殺害されてしまいます。

殺害される前の週にイギリスへ、“メシアの姉妹”という一千万ドル以上の価値があるとされる、幻のストラディヴァリを探しにいっていたことが明らかになります。ジャンニは友人の刑事に協力して事件を探り始めるが、新たな殺人が発生して…。

ヴァイオリンの名職人が、豊かな人脈と知識、鋭い洞察力を武器に、楽器にまつわる謎に挑むシリーズ第一弾です。

 

ヴァイオリン弾きの感想

ヴァイオリンという楽器について一番知識が深まる一冊となっております。先ほどご紹介した「謎のヴァイオリン」よりさらに深くヴァイオリンの奥深い世界が描かれています。クレモナの三大ヴァイオリンのストラディバリ・グアネリデルジェス・アマティだけでなく他にも多くの名器が登場しますが、やはり肝となるのはグアネリとストラディバリです。

そしてこちらの作品ではヴァイオリンディーラーやオークション、そして楽器としてではなく投資対象としてのヴァイオリン市場、さらには贋作作りについての記述も多いので、読んでいて新たな世界を知ることができます!(私もかなり勉強になりました)

また、イギリスとイタリアが主な舞台となるので、馴染みの方にとってはさらに楽しめる一冊となっております。

主人公たちはお孫さんがいる世代なので、恋愛も少し登場しますが熱愛というよりゆっくりと人間関係を育む描かれ方で私は個人的に好感を持ちました。

ルイシュポアに関する記述がこちらにも登場しました。

2020年3月現在、他にも同シリーズの小説が2冊ありますので続けて他の2冊を読む楽しみがあります💛

 

登場する曲名

ベートーベンのラズモフスキー(管弦四重奏曲)
ベートーベンのソナタ「春」
バッハの無伴奏パルティータ「シャコンヌ」

 

 

4 ストラディヴァリウス ある名器の一生 ★★★☆☆

ストラディバリウス ある名器の一生

著名ストラディヴァリウス ある名器の一生
著者トマス・マロッコ
金沢正剛・山田久美子(共訳)
出版社音楽之友社
初版1992年

あらすじ

主人公は〈ネルソン提督〉のニックネームをもつストラディヴァリウスの名器。盗難・偽造・戦渦にまきこまれながらも、パガニーニ、イザイ、クライスラー等のヴァイオリニストに愛されたこの名器の目を通して、一人称の文体で綴る歴史物語。

ヴァイオリン弾きの感想

ストラディヴァリウス本人からヴァイオリンが産み出されるところから物語はスタートします。

様々な人の手に渡り演奏されたり、他の名器に取って変わられ演奏されなくなったり(それが多くの場合、グアネリであるのがまた面白い点💦)盗まれて全く手入れをされなくなったり、自分に似せたフェイクのヴァイオリン(贋作)を作る現場を目の当たりにしたりと様々な経験をするストラディヴァリウスの一生が一人称で描かれています。

作者であるトマス・マロッコ自信がヴァイオリニストであることからもヴァイオリンを女性に見立てて時に官能的な表現が使われるのが印象的でした。

ヴァイオリンは数百年前から胴の長さが少し長くなった以外は、なにも変更が加えられていません。それほどストラディバリウスの時代にはヴァイオリンという楽器は完成されていたんですね。

この小説は、名器が長い間どのような経験をしたのかを追体験できる趣向の変わった面白い小説でした。

若干古い小説なので、手に入り辛いかもしれません💦

 

5 百年の預言(上下)★★★★☆

著名百年の預言
著者高樹のぶ子
出版社朝日文庫
初版2002年

 

あらすじ

21世紀末、東欧革命前夜のウィーンで出会ったヴァイオリニスト走馬充子と外交官真賀木奏。

音楽への情熱を共有する二人は、亡命ルーマニア青年のセンデスから、古い手書きの楽譜を譲り受けます。「百年後の愛しい羊たちへ」と題されたその楽譜には、歴史を変える力が秘められていたのです。

異国での激しい恋が呼び寄せる運命の翳り。謎と官能に彩られためくるめくドラマの幕が上がります。

ちなみに、当記事初めの写真は、こちらのヴァイオリニスト走馬充子をイメージしています♪

ヴァイオリン弾きの感想

今までご紹介した本のなかで、ある意味一番ヴァイオリンという存在が薄い小説かもしれません。もちろん、ヴァイオリニストが主役なのでヴァイオリンを演奏する場面も多いのですが、本題は「ルーマニア革命」「共産主義からの民主化」に焦点が当てられています

「プラハの春」の主人公がヴァイオリニストで、恋人もヴァイオリンを愛しクラシック音楽を愛するという設定と言えば分かりやすいでしょうか。そして恋愛小説としての色合いも一番強い小説でした。

こちらはヴァイオリンやクラシック音楽愛好家だけでなく、東欧の革命や歴史小説がお好きな方にも楽しめる内容となっております。

個人的にはあまり馴染みのないルーマニアについて知ることができたので色々な意味で楽しめました。

学生時代、ドイツ留学時代に飲んだルーマニアの赤ワインが安くてとても美味しかったのを思い出しました。男の子と女の子がラベルに描かれていたあのワインもう一度のみたいな・・・

 

登場する曲名

架空のルーマニアの曲が題材となっているので、あまり多くのヴァイオリン曲は登場しません。

作者の高樹のぶ子氏はヴァイオリニストの天満敦子さんが弾かれる「望郷のバラード」に触れたのが、この小説を書くきっかけになったと言われています。

番外編:のだめカンタービレ

著名のだめカンタービレ
著者二ノ宮知子
出版社朝日文庫
初版2002年

 

二ノ宮知子さんの音大を舞台とした青春マンガ。

几帳面で格好いい学園のアイドルな俺様「千秋」(ヴァイオリン弾き+指揮者のたまご)と掃除が大の苦手なかなりマイペースな「のだめ」(ピアニストのたまご)を玉木宏さんと上野樹里さんが演じて大ヒットしましたね。

私も実はマンガは全巻持ってますし、オーケストラ仲間の間でも「のだめネタやのだめトーク」は当時かなりはやりました💛

25巻あるため、登場するクラシック曲数はかなりの数に上ります。有名なところで、オープニング曲に使われたベートーヴェン交響曲第7番やガーシュインのラプソディーブルーでしょう。

もし、まだ読まれた方、見られたことがない方は是非!笑いあり涙ありの学園ドラマで見ていて元気になれます^^

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